渡邊さんからの年賀状

あけましておめでとうございます!

2011年の終わり、そして2012年の始まりを、皆さんはどのように過ごされたでしょうか。私は、新年早々何に当たったのか、おなかの中で何かが発酵しているかのような症状を呈し2日ほど寝込みました。とにかく私の中から出てくるもの(水ですが。)はみんなシュワシュワー・・・といっていました。・・・おかげで、みなさんへのあいさつが遅れてしまい申し訳ありません。

今年は、去年に引き続き父の訪問、一緒に働いている夢衣さんのお父さん、お母さんの訪問、そして、前在東ティモール日本大使の北原ご夫妻の訪問と、お客さんが沢山の年末年始でした。

この橋は日本と東ティモールを結ぶ橋

年末は、北原ご夫妻に同行させていただき、ラウテン県イリオマール郡に日本のODAで建てた学校を視察に行き、それから北原前大使が立ち上げた日本東ティモール協会の支援でロスパロス郡ソロ村に作った橋の竣工式に参加させていただきました。北原前大使はラウテン県副知事のジュリオさんと「家族」と呼び合う仲です。竣工式には、ジュリオさんはもちろんのこと、東ティモール国会議長のラサマ氏も参加して盛大なものでした。

「この橋は日本と東ティモールを結ぶ橋。これは最後ではなく、始まりです。これからも東ティモールと良い関係作りをしていきたい。」と前大使。ティモールをとても愛している北原ご夫妻の思いが橋になって、みんなをハッピーにしていました。

ラサマ議長は、「開発は、一気に沢山というわけにはいかないが、少しずつこの国を良くしていきたい。来年はインフラの整備により一層力を入れたい。しかし、政府のみが頑張るのではなく、そこには住民の協力や住民自らがイニシアティブをとって動くことも欠かせないことなのです。ロスパロスも、電気が24時間来るようになりましたね、おめでとう。これから、すこしずつ、道や水道の整備もしていくつもりでいます。」

これからは電気のある生活

・・・ロスパロスに電気が24時間来るようになったというのは初耳でしたが、そう言えば最近、1日中電気がある・・・。いつも特別な日は電気があるので、年末年始もその一環かと思っていましたが、もしかして、これが過ぎてもちゃんと電気来るようになるのかな?“ロスパロス”と一口にいっても全ての地域でというわけにはまだいかないようですが本日1月4日になっても、私達の住んでいる所では今のところずーっと電気がついています。

今朝なんだか妙に感動的な気分になりました。

私が派遣される前、前任者たちは24時間電気無し生活だったと聞いています。

私が派遣された2008年は、電気は夕方6時から夜12時まで。電気をつけっぱなしにしていてもいずれ自然に消えるからOK、電気製品のチャージをしそびれたら次の日の夕方まではそのまんま。パソコンの電源が切れたらパソコンでなくても出来る仕事を。飾りのように置いてある冷蔵庫は、電気が来る6時間の間に中を冷やし、朝まではとりあえず保冷効果で冷たい・・・が、調子にのって何日も生ものを入れておくと冷蔵庫の中で腐る。だから基本的に冷蔵庫はつかわないし、ぬるいコカコーラを飲むのにも慣れた頃・・・といった感じです。

炊飯器も夜ご飯を炊いて残りのご飯をおにぎりにして朝食べる。食卓に上がるものが、残ることなんてないんです。残しておけないから、食べる分しか作らない、私はこういう生活をエコで素敵だな~と思っています。

電気は少しずつ人々の生活を変えていくのでしょう

でも今朝感動した、それは、朝からご飯炊けるんじゃん!とか、冷たいものをいつでも飲める、昼間でも洗濯機回せる、昼間でもDVD見れる!何より、パソコンの電源が切れた時も、印刷機を使いたい時ももうあのうるさい発電機を回さなくてもいいんだ・・・。しばらくは、「あ、電気あるんだった。」と、ハッとしてしまうことがありそうです。

私がティモールに来て初めての正月、やはり私は下痢を起こして大変な騒ぎでした。夜中の2時に突然激痛に襲われて必死に懐中電灯を探した記憶があります。もうそんな心配はないんだな・・・夜中でもバッチリ電気がついていればもう安心!(?)

きっと停電することはしばしばあるでしょう。首都ディリでさえ、いまだに停電しているのですから。

でも、来るはずのものが来ないのと、最初から来ないのではやはり大きく違うと思います。これからロスパロスでもテレビや冷蔵庫が増えていくのかな、お魚屋さんやお肉屋さんは氷で魚の鮮度を保つことが出来るようになるのかな・・・冷たいものがいつでも飲めて、アイスクリームなんかも売るようになるかもしれません。朝からテレビやラジオを聞いたり、音楽が流れたり・・・電気は少しずつ人々の生活を変えていくのでしょう。

正直、私は電気のない生活も好きでした。なければないで、やっていけるもの。暗くなったら寝ればよい。真っ暗闇の映し出す星空は言葉にならない美しさです。私の大好きな風景に電線が張られてしまったこと、電信柱を立てるために沢山の木が切られてしまったことは悲しいことです。でも、それは日本人である私のわがままというもの。みんな電気を必要としているのです。

「TVないんです・・・」

「サトコ、やあ!元気かい?」副県知事のジュリオさんからの電話でした。

「この前の竣工式がテレビで流れたんだ!7分くらい、とても長い時間放送していたんだよ。北原さんに見せてあげたいんだ、サトコの所で録画できないかな?」

・・・っとっと!

「ごめんなさい、ウチ・・・TVないんです・・・」

「え!?あぁ、そうだったの!じゃあ誰かに頼めないかな?」

「そうですね、ちょっとディリに住んでいる人に聞いてみますね!」

住民と共に生きる!と電気のない生活の難を潜ってきた私達。いつの間にか・・・もしかして・・・ちょっと遅れを取っている!?

ティモールの国営放送は1チャンネルだけだけど、大切な情報源。前々からアンテナをつけようとは思っていました。これを期に、ニュース見れるくらいにはしておかなければ・・・と思う私達なのでした。

独立10周年

2012年は東ティモール独立10周年の年。3月には大統領選を控えています。今年1年、この国が平和で、そして良い未来を築いていくことができますように!今年もどうぞよろしくお願いいたします!

【 筆者紹介 : 渡邊さん 】
渡邊さんは、特定非営利活動法人 東ティモール医療の会(AFMET)の目ぢからいっぱい、まんまる瞳の看護師さん。2008年から東部のロスパロスにて住民の皆さんに自らの健康は自ら守るため、また、医療サービスから遠い村で保健ボランティアを育成し、彼らを中心に村の中での健康や衛生に関する教育などの普及に努めています。