東ティモール通信 No.40

日本の皆様、こんにちは!だいぶ遅い通信で申し訳ありません。

4月から新しい事業がスタートしました。毎週実施している活動評価があるのですが、スタッフの真剣さが伺えて嬉しい限りです。スタッフからもいろんな意見がでるし、私もいろいろと自分の意見を発表します。その意見はダメ!と否定するのではなく、互いが良く耳を傾け、まさに“話し合い”の場をもてている気がします。今後もスタッフとの話し合いを重ね、より良い事業にしたいなと思います。やっと開始する事のできた新事業ですから!

新事業の事は次のレポートで詳しく書かせて頂く事にして、今回は、私の身の周りの事などを皆さんと共有させて頂きたいと思います。

*ジュビちゃんの旅立ち*

AFMETのスタッフ、アジェさんの娘・次女のジュビちゃんが「イギリスに出稼ぎに行く」と言いだしたのは去年の11月頃でした。いつも、アジェさんの家に遊びに行くと「アビーン(お姉さんという意味)ユイチャァーン!」と私に抱きついてきてくれるジュビちゃん。私の妹のような存在です。ジュビちゃんは現在18歳。高校を卒業したばかりですが、アジェさんが生きていた頃から、出稼ぎに行く事については話していたそうです。アジェさんは猛反対したけれど、「お父さんが一緒に働いている日本人のお姉さんたちは、外国に来て仕事をしていてスゴイってお父さんがいつも言っているじゃない!」とジュビちゃんから言われたために、とうとうアジェさんもおれ、パスポートをつくる手続きなどはアジェさんが手伝っていたのだとか(笑)。

出稼ぎに行くと言われた頃から心の準備はしていたのですが、とうとう3月30日に、“ゆいちゃん、もし時間があったら家に遊びに来てね。私は明日ディリに行って、4月4日にイギリスに行きます。”と携帯にメッセージが届きました。一生の別れではないし、Facebookやスカイプで連絡も取れるし、電話だって出来るけれど、会う事って、やはり大事なんだなぁと思います。顔を見て話す、笑い合う、触れる。ジュビちゃんが、自分の家族のような存在になっていたのだと再確認したときでした。

旅立ちの4月4日は日雇いの運転手さんにお願いして、早朝に出発、ディリでジュビちゃんを見送り、ロスパロスに帰って来る事に決めました。ディリ空港には、ジュビちゃんを見送りにきた家族やお友達がたくさん来ていました。私は邪魔にならないように後ろの方にいたのですが、「ユイチャン一緒に写真を撮ろう!」とジュビちゃんに言われ、スイッチが入ったように涙が止まらなくなってしまいました。1人が泣きだすと、周りにいる人も一斉に泣き出してしまうティモール。外国人が泣いている!という事でいろんな人が野次馬のように集まってきてしまい、なんだか申し訳なかったです…。そんな私を見て、ジュビちゃんが「ユイチャン、ユイチャン、私の服見て!!お父さんも一緒にイギリスに行くの!」と言いました。見てみると、アジェさんの写真がプリントされたTシャツを着ているではありませんか!私を笑わせてくれようとしたのですが、余計に悲しくて嬉しくて、ジュビちゃんが空港の入口に入るまで、もう涙は止まりませんでした。

4月7日、イギリスに到着したジュビちゃんからメッセージが届きました。歳のせいか涙腺がゆるゆるになってきてしまい、また目頭が熱くなってしまった私…。ジュビちゃんからのメッセージは大切に携帯に保存してあります。私の大切な妹がイギリスで元気に生活してくれるよう、祈るばかりです。
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ジュビちゃんと私。アジェさんのお家で。
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アジェさんとジュビちゃんと撮る事が出来た、唯一の写真

*サリちゃん*

最近とっても気になっている子がいます…。彼女の名前はサリちゃん。スタッフに誘われて遊びに行ったお家の、長女の子どもです(東ティモール通信38で一緒に魚釣りに行ったガビちゃんの、姪っ子にあたります)。3歳児の彼女はとってもおてんば娘です。私がコーヒーを頂いて飲んでいるとささーっとやってきて、「パヤ―――!」と私の名を呼び、コーヒーが載っているプラスチックの机をどこどこと動かしてコーヒーをこぼします。既に3回やられてコーヒーは飲めずじまい。笑。

実は、彼女のお父さん(私も何度か会った事があるのですが)は、職を探しにディリに行くと言ってロスパロスの家を出た切り、一度も連絡がありません。すでに10ヵ月…。一体どうしたんだろうと思い、家族のお父さんに聞いてみると、「ロスパロスの家にいても、仕事を探すでもなく、畑耕しもしないし、毎日寝てばかり。サリがいるのに、子どもを想ってお金を稼いでも来ない。だから追い出した!」との事…。う~ん、、なるほど。。そのため、サリちゃんにとってのお父さんは、おじいちゃん。眠いときはおじいちゃんに抱っこしてもらわないと寝ないのだそうです。

サリちゃんのお母さんはどう思っているのか不思議に思って聞いてみると、「もうしょうがないの。お金も本当にないから、サリのミルクを買ってあげる事も出来ないし。私のお父さんとお母さんに迷惑をかけて旦那は怒られてばかり。サリも旦那には結局慣れなかったから、私がいつも面倒を見ていたの。もう疲れちゃった…」。あぁぁ…彼女の気持ちもわかる。。

サリちゃんはと言えば…。「サリのお父さんはいないんだよね?」の質問に「うん。」と答え、すっとおじいちゃんを指差します。2歳児の彼女なりに何かをくみ取っているのでしょうか?
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サリちゃんとおじいちゃん。
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一人遊び中のサリちゃん。

お父さんは傍にいなくても、家族に愛され、元気に育っている様子のサリ。すでに何個かの単語を覚え、解読不能ですが、ぺらぺらとおしゃべりをしています。旦那さんを連れ戻すとか、更正させるとか、そんな事私にする権利はないけれど、サリちゃんを愛する一人でありたいです。サリちゃんの「パヤ―――!」が聞きたくて、ついつい今日も遊びにいってしまう私です。
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サリちゃんを膝にのせてご飯の準備中。サリちゃんを膝にのせてご飯の準備中。
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ガビちゃんとサリちゃんと私。

2015年5月22日 深堀夢衣

【 筆者紹介 : 深堀夢衣さん 】
深堀さんは、AFMETの現地事務所代表。
愛くるしく逞しく、どこまでも人々に優しい女性。
AMR(アマゾネスめひリアリダデ)は、そんな深堀さんの愛称!
みんなの夢を実現するため明るく力いつぱい頑張っています。