東ティモール通信 46通目

 日本の皆様、こんにちは!ロスパロスは雨が降っています。屋根のトタンに雨粒が落ち、仕事中だとうるさくてイライラ、休みの日はその音が心地よく響いています。
自分の気分次第で雨の感じ方が違います…。
晴れた日の夜は、外に座ってコーヒーを飲むのですが、月も星もキラキラと輝き、本当に綺麗です。宇宙からみた地球は今も青いのかなぁなどと、コーヒー片手にぼーっとする時間がとても好きです。

3月31日に2015年度の味の素事業全プログラムが終了し、反省点を改善に導くため、スタッフたちと会議の毎日です。現在は新しい村でベースラインサーベイを始めています。
2016年度の活動は2015年度の反省点を活かした活動にしたいです。
今月は東ティモール小話をいくつか書きました。来月からはまた活動についての報告になります。

*メチ!!!*

 3月になると、毎年欠かせないイベントがロスパロスにはあります。それはメチ取り!もしかしたら他県でも取れるのかもしれませんが、一番量が多いのはやっぱりロスパロスじゃないかなぁと思います。メチはゴカイのとっても細いバージョンのようなものです。曖昧な表現しかできず申し訳ない…。写真を見てこの正体がわかった方、是非ご一報ください。

グラフィックス1
↑これがメチです。赤色、黄色、緑色をしています。

グラフィックス2
↑つかむとぬるぬるした触感です。。

 3月の終わりになると、ロレI村にいる知り合い(ロレIで漁師をしている石鹸グループのメンバーです)が電話をかけてメチの出現を教えてくれます。
 「もしもし!メチきたよー!取りにおいで!!!」
 「はーい!!」
 いつもこんな感じ(だいたい要件のみです。電話代が勿体ないからなのでしょう。笑)で、夕方から車を走らせ、ロレI村まで行きます。約2時間くらいです。メチは、ロスパロスでは“長寿の薬”と言われています。生で食べる事もありますが、一番人気は唐辛子とレモンと塩に混ぜて薬味のようにした後、ご飯やバタルダーン(トウモロコシの煮たもの)にかけて食べられます。私にはとてもマネできません…。薬味のようになったメチはもう臭いが!臭いが強烈なのです…。臭いだけでとてもとても食べられません。ですが、ロスパロス人は臭いを嗅ぐなり「うまそ~う!」と言い、とっても満足そうな、嬉しそうな顔で食べるのです。微笑ましいけれど絶対に食べられない私です…。生で一度食べたことがあるのですが、塩っぽい味(たぶん海水の味)がした事を覚えています。

グラフィックス3
↑メチ取りの様子。みんな真剣です。あれ?それ…蚊帳じゃない?なんてコメントはご法度です。

グラフィックス4
↑大量に取れたメチ

 ロスパロスにいる部族の中で、メチの主たちがいます。彼らは月の満ち欠けを見て、そろそろメチが来るな…と判断するそうです。まずはメチの主たちがメチを取り、そのあとで、私たちが海に入ってメチを取ることが許されます。もし勝手にメチを取ってしまうと、Diabu(ディアボ:テトゥン語で悪魔の意味)に取りつかれてしまうと言われているのです。メチ取りは年に2日間のみ!私が東ティモールに来たばかりの頃にも一度スタッフと共に行ったのですが、当時は電気がなかったので、大きな木に火をつけ松明のようにして皆でメチを探しました。今は懐中電灯が主流です。ティモールも開発が進んでいるなぁとしみじみしてしまいました。
 メチ取りのときは皆とーっても真剣!仕事にもその集中力を…と思うのですが、好きな事には全力投球!のティモール人。今年も皆のなかなか見られないマジ顔を見ることができて、なんとも微笑ましい一夜でした。

*魚釣り*
 ここ最近のレポートでは仕事のことばかり書いてしまいましたが、私の所属しているNGO AFMET(アフメット)は週休二日制で、土日はお休みを頂いています。最近は友達を誘って魚釣りに行くことが多いです。雨が降り出し、イラララル湖にも魚が増えたという噂を聞きつけ、早速行ってみることになりました。昼食もそこで食べるので、魚が釣れなかった場合はお腹を空かせたまま帰路につく…という、切ない結果になることもあります。今はバタル(トウモロコシ)の時期なので、トウモロコシを持って出かけました。日本のトウモロコシの食感を音で表すと“ぷりぷり”。東ティモールのトウモロコシは…“ぶりぶり”。もしくは“ぶちゃぶちゃ”と言ったところでしょうか…。日本のトウモロコシを想像して食べるとガッカリですが、ティモールのものとして食べると、これがなんともクセになる味と食感なのです。

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↑トウモロコシを焼いてくれているベティ(右)とウク。薄皮のまま火に投げ入れます。

グラフィックス6
↑釣れたお魚!

  今回一緒に魚釣りに来た子どもたちは、ベティとウク、そしてサリ。ベティは身体が大きく、家族からゲンドゥットゥ(太っているという意味)と呼ばれています…。学校でも身体が大きいことでからかわれているそうなのですが、そんなときは、「私の身体が大きくてあんたたちに何か迷惑かけたかしら!?」と言える、心の強い女の子です。料理も上手で、いつも笑顔を絶やしません。日本では学校でいじめがあって、それを苦に自殺してしまう子もいるんだよと伝えると、「日本ではお父さんとお母さんが、命の大切さについて子どもに教えてあげないの?」と言われてしまいました(苦笑)。ウクは、小学4年生の元気な男の子。いつも鼻水が垂れているのがちょっと気になりますが…、学校で日本のことを学ぶと、私を呼んで話をしてくれます。「パヤ(私のあだ名)、この間はFujiについて学んだよ!Fujiっていう山があるんでしょ!?世界で一番高い山って先生が言っていたよー!!」。先生、それは間違っているよ…と思い、さすがに訂正しておきました(笑)。サリは現在3歳。日本のおつまみ、柿の種が大好きです。
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↑柿の種大好きなサリと。

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↑「魚釣ったから写真撮ってー!」ウク。

  元気に自由に遊ぶ子どもたちを見ていると、この子たちの未来が素晴らしいものになりますようにと祈らずにはいられません。ティモールが今後どのように変わっていくのかは誰にもわかりませんが、戦争を経験し、独立を果たしたティモールの大人たちが、子どもに恥じない未来をつくってくれることを心から願うばかりです。誰のために、何のために活動しているのか、子どもたちと遊んで再認識できる私です。
  今回釣れたお魚は3匹だけ!!8人で行った私たちにはとても足りません。隣で釣っていた別の家族から魚を買って、美味しく頂きました。今度は私も釣れるといいなぁ~。。
  
2016年4月25日 深堀夢衣