東ティモールのダイビング(あきひろさん)

いつでもダイビング・シーズン

私は、約4年間の東ティモール滞在中、仕事の息抜きのために、よく海へ行き、スキューバー・ダイビングをしました。そもそも、職場の前が海なの で、毎日陸上から海の景色を楽しんでいましたが、海に潜ってみたら、まさに「息をのむ美しさ」でした。ここでは、その東ティモールのダイビングの魅力をご 紹介したいと思います。

東ティモールは、ほぼ赤道直下に位置する常夏の国なので、言ってみれば、いつでもダイビング・シーズンです。太陽が燦々と照り、水が濁る要因も少ないため、透明度が高く、すばらしくきれいな海です。

photo-04

憧れのコーラル・トライアングル

東ティモールは、世界的にダイバーの間で有名な、インドネシア、フィリピン、パプア・ニューギニア、オーストラリアを包含するコーラル・トライ アングルという地球上でも非常に海洋生物が多く多様性に富むところの中に位置するのだそうで、南洋系のアジやイワシの群れのほか、日本ではなかなか見られ ないカラフルな魚がたくさんいて、毎ダイブが興奮の連続です。ネムリブカやウミガメを見ることが出来た日は、もうそれだけで充たされた気分です。珊瑚礁 も、硬そうなものから、イソギンチャクのように柔らかいものまで本当に多種多様でした。

love-1a

ウミウシ

そうした多様な生物の中でも、私の心をとらえたのは、ウミウシでした。ウミウシは青い海の中に異彩を放つ存在で、ダイバーの中ではファンも多い のですが、東ティモールでは、その種類も多く、よく見つけることができました。図鑑にも載っていないウミウシを発見したり、ウミウシの産卵等の生態観察な どもできたりと、ティモールならではの貴重な経験だったと思います。

love-1elove-1f

love-1h

ダイビングポイント

東ティモールでのダイビングポイントの多くは、首都ディリから車で約30分から1時間かけたところにあります。一番近いポイントは、首都のディ リ郊外だったのですが、なんと家から車で5分ほどで着く手軽さでした。そんなに家から近いのに見るものは多く、何度このポイントに潜ったか分からないほど です。

車で1時間くらいかけて行くポイントには、経験豊富なインストラクターがいる、装備のそろったダイビング・ショップの引率で行っていました。潜 るのは、だいたい午前に一本、午後に一本。浅いところでも、いろいろと楽しめるのが東ティモールの海で、さらにダイビング・ショップもとても自由な雰囲気 で、日本だったら30-40分で終わるところを、1時間以上潜らせてもらったこともよくありました。南の海を十分楽しんでいってくれ、という心遣いがまた うれしかったです。

love-1b

午前の一本目が終わった後の楽しみは、潜る前に日向に置いておいて温めておいたペットボトルのお湯シャワー(シャワー施設はないため自分で頭か らかぶる)と、ダイビング・ショップの用意してくれるお昼ご飯。よく利用していたダイビング・ショップのお昼ご飯は、料理上手なマダムの手作りで、バーベ キューやキッシュ、ケーキまでつく豪華なもので、それはそれは格別でした。

また、東ティモールには、アタウロ島とジャコ島という小さな島があります。この島もダイビング・スポットで、アタウロ島はティモール島とは違っ た地形で違った生物が見られました。ジャコ島では残念ながら、ダイビングすることはなかったですが、水がとっても透き通ってきれいでした。

love-1d

リスクへの備えも忘れずに

東ティモールでのダイビングの楽しさのお話は尽きないのですが、東ティモールでダイビングする際には事故のリスクがあるということを認識しなけ ればなりません。ダイビング事故の種類にはいろいろありますが、一番深刻なのが減圧症というもので、この症状になった場合には、一刻も早く処置できる設備 がある国へ行かなければなりません。東ティモールではそうした設備はありません。減圧症になれば、急に高度を上げる航空機には乗ることは危険で、低空を飛 行するヘリコプターでの緊急搬送となりますが、この移動手段は高額になってしまうため、あらかじめダイビング保険に加入しておく必要がありました。また、 事故に遭わないように、体調管理や機材点検、ダイビング中の状況判断も、他の国で行う以上にしっかりしなければなりませんでした。余談ですが、高度な危機 管理にも対応できるように、私は、レスキューダイバーという資格を取得しました。

このように、東ティモールでのダイビングでは、本当に多種多様な海洋生物と出会えるとともに、他では出来ない爽快な体験ができました。この体験 は、東ティモールに滞在した者の特権だったと思っていましたが、私の滞在が終わる頃には、東ティモール国外からの観光客の方がダイビングをしているのを見 かけました。これから知名度が上がるかもしれません。

手つかずの海。奥は深いです。

love-1g