東ティモールで暮らして3年の間、度々生と死に向かい合いました。
子だくさんの東ティモール、近所さんだけでも4人の妊婦さんがいます。予定日を過ぎても産気づかないお母さんは、せっせと洗濯をしたり水汲みをしたりして陣痛を促していたり、もうすぐ臨月を迎えるお母さんは、涼しい朝夕に散歩をしたり。
そんな中、6か月で産気づいて、双子の赤ちゃんを出産したお母さんがいます。出産が早すぎたためか、一人目は死産、二人目は一日頑張りましたが、残念ながら息をひきとりました。
小さなちいさな棺におさめられた赤ちゃんは、6か月とはいえ目や鼻、口ももう赤ちゃんそのもの。こうして、こんなかわいらしい顔をして、お腹の中で一生懸命育っていたのだと思うと、すごく愛おしく思いました。
東ティモールでは、順調に育っているようであれば、定期検診に行った際には、触診や心音を確認するだけで、超音波でお腹の中を見ることは行 いません。それなので、日本へ一時帰国した時に見た、3か月の娘の姿しか知りませんが、頭があって、手があって、あぁ生きているんだなぁと感動したことを 覚えています。そして、お腹が急に大きくなり始めた6か月頃、娘もこんな姿でお腹の中にいたのだなぁと思いました。
昔に比べたら医療も発達し、出産のリスクも随分と軽減されているとは言え、こうして一人の人間が産まれてくることの奇跡を、あらためて感じ ました。生後一か月までの新生児死亡率が日本の1.4人に対して、東ティモールは22人(1000人中・2010年度)の数字からも分かるように、日本と 比べると、そのリスクが高いのは現状です。そんな中、元気に生まれてきてくれたわが子に、本当に感謝せずにはいられませんでした。
人生には、出会いもあるけれど、別れもある。うれしい出来事もあれば、悲しいできごともある。それでも、こうしていただいた命を、精いっぱい生きていかないといけないと思いました。
2012年3月20日