クリスマスとお正月

クリスマスを迎えて

普段は首都のディリで過している私たちも、クリスマスとお正月には主人の実家へ里帰りしました。クリスマスで思い浮かぶのは、ツリーにサン タクロース、いたる所で電飾がキラキラしていて、そして何と言っても寒い。しかし、年中暑いここでのクリスマスは、汗をかきながら迎えました。

カトリックが大半の国、東ティモール。クリスマス近くになると、町にはそれぞれに工夫をこらしたプリゼピオ(馬小屋)が見られるようになり ます。かつて、マリアとヨセフが出産できる場所を探し歩き、やっとのことでたどり着いた馬小屋での、イエスの誕生を再現したものです。自分たちで絵を描い たもの、人形を配したもの、電飾の光るもの、もっと大きかったらそこに住んでもいいと思えるほどに、立派に作られたものなど、散歩しながら見ていくだけで もとても楽しいです。実家でも、弟たちが小さなプリゼピオを作っていました(下写真)。

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ミサに行こう♪

ここでのクリスマスとお正月は、教会でのミサに行くことで始まります。クリスマス近くになると、道いっぱいに服を売る出店が溢れ、大渋滞が できるほどに込み合います。主に子どもたちは、そこでミサに行くための特別な服や靴を新調してもらうのです。新しい服を買ってもらえるのは、この年末の一 度きりという家庭がほとんど。子どもたちがクリスマスのミサを楽しみにしているのは、もしかしたら素敵なドレスを着ることができるからかもしれません。

私と主人は、娘がまだ小さいので、クリスマスもお正月も、夜のミサには行かず、家でいつもと変わらない時間を過ごしました。こうして家にい ると、特別な日を過ごしている気もせず、平凡過ぎる!と感じつつ、まぁ家族みんな元気に過ごせたのだからよしとしよう、などと話していた私たち。けれど、 ミサから帰ってきた妹や弟たち、近所の人や道ですれ違う際に言葉を交わす人たちも、口々に言います。

「クリスマスだけれど、年末だけれど、ちっとも特別な日の気がしない!というか、普段よりしらけてる!!」

クリスマスの夜に

話はまたまた停電へとつながってしまうのですが、実家では最近三日に一回の計画停電が行われ、クリスマスと年末がちょうどその三日に一回に あたってしまい、真っ暗だったのです・・・。地方での停電は、首都のそれとはまた違った趣があります。聞こえてくるのは鳥や虫の鳴き声や風が木を揺らす 音。そして一寸先はまさに闇!で、目の前にかざした自分の手さえも見えません。標高が高いため、長そでを来て毛布をかけて寝るくらいがちょうどよいくらい にすずしく、雨で空気も洗われ、しーんと静かな村の夜。日常の喧騒からかけ離れたこの静かな夜が、私はとても好きでした。

そう、その気持ちはすでに過去のもの。娘が産まれてからは、そんな感慨にひたっている余裕はない!夜中にお腹を空かせて泣いたって、娘の顔 がどこにあるか分からない。懐中電灯やろうそくの火を頼りに、授乳したりおむつ替えをしたりするのですが、一人じゃどうにもこうにもなりません。娘を抱え た私は両手がふさがっているので、主人が懐中電灯を持つ役割を担うわけですが、不意に起こされた彼は眠気が覚めず、意識が遠のいたその瞬間、ボトッとその 懐中電灯が手から落ちるのです。そのたびに暗闇に引き戻される私たち。そんなことを繰り返しながら、夜は明けていきます。電気のありがたさを、しみじみと 感じる村での生活です。

さて、新しい年になり、首都に戻ってきた私たち。やっとあの暗闇の夜から解放される!と目にした我が家は、なぜか暗い・・・。「お昼からずっと停電なのよー。」とお隣さん。今年こそは明るいクリスマスがやってきますように!

2012年1月4日

【 筆者紹介 : なっちゃん 】
なっちゃんは、東ティモール人のご主人との間に可愛い女の赤ちゃんに恵まれ(2011年誕生)子育て奮闘中の日本人ママです。当協会の現地通信員でもあります。なっちゃんの見た今の東ティモールをお届します。ご期待下さい。