高校生が見た東ティモール

【 筆者紹介 : 和久里 智也さん 】

このたび、東ティモール政府の初めての招待で、全国から集まった10名の高校生が東ティモールを訪問しました。その中の一人、広島学院高等学校2年生の和久里 智也くんから研修記が届きました。オンリーワンの和久里レポート、是非ご覧ください!


私は今回の東ティモール研修まで日本を出たことがなく、16年間ずっと日本で暮らしてきました。そのため、一般の日本人目線でこの滞在記が書けていると思います。

東ティモールのことについては、本を読んだり日本人観光客のブログを見たりなどしていましたが、全体的な情報量はまだ少ないため、漠然と“発展途上国”というイメージを抱いたまま東ティモールに向かいました。

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ディリの空港に着いたときに感じたのは、自分が想像する発展途上国と実際の発展途上国は違うのだということです。空港の綺麗さには驚きました。 その時に、北原前大使が東京でおっしゃっていた「日本は先進国といっても、もう後退しているのかもしれないと思うんだ。いずれは、今発展途上国といわれて いる国々に抜かされてしまうんじゃないかな。」という言葉が自然と頭に浮かびました。

ヨハネ=パウロ2世の像の周りやクリストレイの周りなどでは、たくさんの若者が楽しそうに遊んだり話したりしていました。ブランコに乗る少年 と、それを見つめる両親。遠くからは友達が走ってきましたし、次の順番を待つ友達もいました。そこから、日本にはもう無いような横のつながりを感じまし た。ポチャポチャを踊る男女と彼らを見つめる男の子の写真です。時間が経つにつれ一人また一人と子供が集まってきました。日本国大使にも話しましたが、日 本よりも時間がゆっくり流れているなと感じました。日本人のように、次は~次は~、といった風にあくせくしていないからでしょうか。ただ、おそらく彼ら自 身は、(習い事がしたい)(もっと勉強がしたい)と思っているとは思いますが、日本人の私からすると少しうらやましい気もしました。

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朝日、夕日、ともに美しかったです。これらを見ることができただけでも(来られて本当に良かった)と思いました。丁度岬に建物がないため、朝日 により徐々に空が明るんでくるのがはっきりとみることができ、まるで朝日が出るために一段下がったような山も、その美しい光景の後押しをしていました。
同じ場所で朝日も夕日も見ることができる海岸線は、貴重な観光資源だと感じました。日本にもまだまだ美しいところはたくさんありますが、経済の成長のために壊されてしまった風景もたくさんあります。

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東ティモールにも経済成長の波は訪れるはずですが、この風景だけは残してほしいと思いました。

二つの学校を訪問してきました。出生率が増える中、義務教育が十分に行えていないのも事実だと思います。その中で学校に通えている生徒達の笑顔 を見ると、(こういうものが本当の教育なんだな)と感じました。それを見て日本に帰ってきて、友達の、「明日休みになればいいのに」「よっしゃ、次の教科 は内職できるわ」などという言葉を聞くたび、申し訳ないような歯がゆいような気持ちになります。

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今回の研修では、個人旅行では決して会うことのできない、大臣、アドバイザー、JICA職員の方々、日本国大使、政府関係者の方々など、多くの方々に会うことができました。先にも述べましたが、私は今回が初海外研修でしたので、新しい発見ばかりでした。決して忘れません。

外務省局長さんには、教育の大切さについて話していただきました。独立のために多くのものを失ってきた彼が話す「人と争うために学ぶのではない、人を保護するために学ぶのだ」という言葉には、今の日本のどの政治家が同じ言葉を言っても越えられないほどの重みを感じました。

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また東ティモールに行きます。日本と同じ日出ずる国、“Timor Lorosa’e”にまた帰ります。

後輩にもぜひ研修に行ってほしいので、今後ともこの研修を続けてください。今回は本当に有難うございました。

11/Sept./2014