東ティモール通信 No.35

日本の皆様、こんにちは。ロスパロスはとっても寒い日が続いています。吹く風も強く、気づいたら洗濯物が飛ばされてどこかにいっている事があります…。

プロジェクトが終了した今は、今後、新たに実施するプロジェクトのため、県保健局や経済開発局などに足を運び、住民のニーズがどんなものか、私たちAFMETが東ティモールの人々のために出来ることは何かなどを模索しています。

*事業終了モニタリング*

7月31日から8月1日の2日間で、以前実施していた「かまど普及」事業の会計監査が行われました。

事業の会計を担当していた私にとっては一大事!
火災にあって、事業実施期間中の何か月かのレシート、データは焼失しており、その分の支出はどう処理するか、リクエストは全部の支出レシートに揃っているかなどを、事業が開始した月から遡って、膨大な量のデータ確認をする日々が続きました。

監査当日は、監査官であるインドネシア人の方と書類をにらめっこしながら、スタッフに通訳もしてもらいながら、なんとか無事に終わり、ホッと一安心。緊張するときは、何かを試されているような、そんな気持ちになります。

団体の戦略計画作成トレーニングでは、スタッフが疑問をトレーナーにぶつけている場面も見られ、彼ら自身が、必死に学びを身に着けようとしてい る姿勢を、大変嬉しく感じました。事業を実施しないこの機会に、彼らの今後に繋がるようなトレーニングを実施して、スタッフの能力を向上させたいな、と 思っています。

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↑会計監査中。緊張しながら電卓を打っています…。

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↑監査後、戦略計画作成についてのトレーニングを受講。

今月12日には、支援先であるHIVOSの事業責任者がHIVOSジャカルタ本部からロスパロスを訪れ、事業受益者の家々を訪問し、AFMETが活動計画に沿って事業を行ってきたのか、本当に受益者が満足しているかなどのチェックがなされました。
か まど事業の継続の不可は、今月中に行われる予定である、事業活動評価会で決定します。なんとか事業継続を受けられるよう、団体の活動実施の良さを売り込ん で行かなければなりません。家庭を訪問している際、私は言葉がわからないので(ティモール人の多くは、長年のインドネシア支配のため、インドネシア語を理 解し、話せる方が多いので、インタビューはインドネシア語で行われました)、緊張しっぱなしでしたが、隣のスタッフ達の様子を見ると、私とは打って変わっ て堂々としています。私は、去年の4月から開始したこの事業の過程をしみじみと思い出していました。

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↑事業責任者が受益者にインタビューしている様子。

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↑かまどを普及された家庭の台所。整理整頓されています。

アジェさんが亡くなったときも、火災のときも、かまどが乾かなかったときも、一緒に試行錯誤して、前に進んできたスタッフたち。火災で事業を継 続出来るか検討がつかなくて、3人の給料も払えるかわからなくて、私はあきらめかけたけれど、この3人はいつもポジティブで、「やろうよ!出来るよ!せっ かく始めたんだから!!」と、本当に、何度も励ましてもらいました。火災の後ティモールに帰って来られたときは、3人と再会する事が出来て涙が出る程嬉し かったです。このスタッフたちが中心となって行ってきた事業なのだから…、と私も途中からは胸を張っていられました。リトとフレイタスさんの2人は退職し ましたが、AFMETのかまど製造・販売事業の担当者として、今後も繋がりを続けていく予定です。

“人のニーズに沿った事業”。言葉でいうのは簡単ですが、かたちにして実行することは、容易ではありません。ティモールの人々のために本当に頑張ってくれた3人のスタッフに、心からの感謝を伝え、事業終了モニタリングは無事に終了したのでした。

*壁にぶち当たる*

東ティモールで生活を始めてから、もう3年半の時が経ちました。その間、壁にぶち当たることは何度もあり、その度に過去のいろんなことを思い出 して自分を奮い立たせて来ました。日本人一人になっても絶対にやりたいこと。それは、ティモールの人々のために、彼らの必要としていることを、事業を通し て実施したい。その想いがあるから、今日までやってこられたのだと思います。

事業終了モニタリングの準備を進めていたある日、日本AFMET本部から、1つの提案がされました。「今、国際協力機構(JICA)で、“世界 の人々のためのJICA基金”というのに、活動提案書を募集しているんだけど、提出してみたらどうだろう?」とのこと。「もちろん!」と返事をし、提案書 の作成を開始しました。高校生から夢見ていた、NGO団体に所属して、事業を海外で実施する。その夢の第一歩を、ようやく踏み出す時が来たのです。心が躍 るってこういう事かも!と興奮しつつ、提案書を前にしたのですが、提案書を前にして愕然。全く、書けないのです!!

想いを言葉にして、人の心に届くようにするって、本当に難しい。記入の手引きを何度も読み返すのですが、何日も書き進められない日々が続きまし た。本当にこの書き方であっているんだろうか?こんなんじゃ絶対ダメだ。ダメなのか?わからない。どうしよう、締め切りに間に合わない…。と気持ちばかり が焦り、ついに爆発!書けない自分に腹が立ち、大泣きに泣き、目は腫れ、不安のまま寝られず、サングラスをしたまま出勤。私って本当に情けない…何もでき ないくせに何の努力もしない大バカだわ…とネガティブさを発揮。サングラスなどあまりかけない私なので、スタッフの皆は驚いた様子で「ど、どうしたの?」 と声をかけてくれるのですが、話始めるとまた涙が出て来て、止まらないのです。日本語の提案書なので、1つ1つの項目をテトゥン語に訳しながら、説明しな がら話すと、「ふむふむ、それで、ここは何て書いたの?」「その要因はどういう理由で決めたの?」など、プロポーザル作成経験のあるスタッフが中心となっ て、話を聞いてくれました。自分の夢だったから、何としても提出したい、自分の今の力を試したい旨を話すと、理由を理解してくれ、工夫すべき点を助言して くれ、活動のアイディアをくれました。

帰宅してからも、提案書と対峙し、不安な気持ちは収まりませんでしたが、今はただ、書き進めるしかありません。そして昨日、ようやく完成した提 案書。JICAの人が、どんな判断をするのかは、わかりません。でも、諦めずに最後まで書けた事がただただ、嬉しいです。泣く私を嫌がらず、声に耳を傾け てくれたスタッフたちにも、本当に感謝です。自分の弱さ、能力の無さ、小ささ。全部、自分の糧になって、ちょっとでも前進できたような気がしています。今 年は、この、壁にぶち当たった日を忘れずに、自分に必要な能力を、少しずつ、向上していきたいです。

*日々の癒し*

疲れたときは、子供と遊ぶに限る!首都ディリに行くと、必ず遊びに行くお家があります。せっかくディリに来たんだから、レストランで美味しいも のを食べ、お酒を飲み…とも思うのですが、待ってくれている子供たちがいるので、そこを行かずしてレストランなどへはどうしても行けない私です。子供たち は、私の事を「Biin Mutin」(白いお姉さん)と呼びます。壁にぶち当たったりもしていますが、子供たちとも遊んで、元気に過ごしていますので、ご心配なく!

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↑「鶏2匹持てたよー!」クリスタちゃん。

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↑土にお絵かき中。ラヌ(左)とクリスタ(右)

14/Aug/2014

【 筆者紹介 : 深堀夢衣さん 】
深堀さんは、AFMETの現地事務所代表。
愛くるしく逞しく、どこまでも人々に優しい女性。
AMR(アマゾネスめひリアリダデ)は、そんな深堀さんの愛称!
みんなの夢を実現するため明るく力いつぱい頑張っています。