日本の皆様、こんにちは。
先日イリケレケレという約4000年前に描かれたといわれている壁画を見に行ってきました。イリケレケレを訪問するのは本当に久しぶりで、そんなに遠くないだろ~看板にも270mって書いてあるし!と思って歩き出したらとんでもなく遠いうえに岩を登ったり下ったり…うっすら覚えている程度の道だったので、自分の記憶力を呪いました。。
久しぶりに見る壁画は変わらず同じ場所にあり、蜂の巣とツバメの巣とが共存している崖っぷちにあります。一つの壁画は蜂の巣にされていたり。昔と今の融合みたいでした。翌日はお決まりの筋肉痛。筋力をつけなければと感じた三十路の真夏の12月の出来事でした。
今回は味の素事業で行っている家庭訪問の話を皆さんと共有したいと思います。
*家庭訪問*
味の素事業の活動の一つに家庭訪問があります。5歳未満の子どもの身体測定を2ヵ月に一度行っているのですが、その際にみつけた栄養不良の子どもの家を訪問し、お母さんと話をするようにしています。子どもの健康状態を説明し、栄養不良の子どもにどんな健康的リスクがあるか等をわかるように説明します。AFMETスタッフ、栄養プログラム担当者のデオさんと共に、身長計、体重計を持って家庭を回ります。
子どもが次から次へどんどん出てくる家、旦那さん1人に対し奥さんが2人いて、こちらまでちょっと気まずい家、意外とお金持ちで大きなスピーカーにテレビはある家、なんとも若いお母さんがいる家など、家庭を訪問することでいろんな家庭の事情や経済状況が見えてきて、その分、今後どうすれば子どもの健康状態が良くなるかの解決策を一緒に考えられる気がしています。
先ほども書いたように、1軒のお宅では奥さんが二人いて、全部の家族が一緒に暮らしています。第1夫人は子どもが5人、第2夫人も子どもが5人。全員で10人の子どもがいる家庭です。
第2夫人は子どもを全員家で出産し、一度もイリオマールのCHC(住民健康センター)に連れて行ったことが無く、母子手帳も無ければ子どもに予防接種も受けさせていませんでした。
その子どもは体重が基準値よりも低く、別の病気を併発してはいませんでしたが、病気にかかるリスクは高いです。CHCに行き、まずは登録するように話したのですが、全く興味のない様子…。できる説明はすべて行ったのですが、お宅をあとにした後栄養プログラム担当者のデオさんは怒っていました。
↑第2夫人のお母さん。説明中だけどちょっと嫌そう。。
「まったく子どものことを考えていない、あんなお母さんは初めて会った!」と…。
どうして病院嫌いになったのか…。ただ嫌いと答えられたらそれでおしまいですが、もしかしたら以前辛いことがあったとか、何か理由があるのかもしれません。それに第2夫人という立場が関係しているのかもしれませんし、それについてはデオさんもAFMETスタッフもノーコメントでしたが、、いつかゆっくり話をできたらいいなぁと思います。
今度のお宅は若いお母さん。まだ18歳という若さで出産をしていました。
スタッフが話始めるときちんと聞いている様子でしたが、特に質問はないとの事…。
本当に理解してくれたのか少し不安です。旦那さんは大工の見習いをしているそうで、毎月決まった収入はなく、ご飯に唐辛子をかけて食べているとのことでした。
子どもに対してのご飯はおかゆのみ。野菜は育てていないのか尋ねると、畑仕事は嫌な様子。畑で野菜をつくるよりは、お友達とおしゃべりをしていたい年頃なのかもしれません。。
↑子どもを抱えた母親はとっても若い子でした。
次の家庭は双子を産んだお母さん。以前も一度お邪魔したことがあり、そのときより少しですが子どもの体重に変化がみられました。デオさんやスタッフの説明を真剣に聞いてくれ、子どもの体重が徐々に増えている事にお母さんも安心しているようです。このお宅のお母さんからは、「子どもが卵を食べると皮膚に発疹が出るのだがどうすれば良いか?」という質問がありました。以前、子どもの食べるおかゆに卵や野菜を混ぜるように、という助言を実践してくれたようですが、もしかすると子どもが卵アレルギーなのかもしれません。卵以外のたんぱく源、大豆や豆腐、もしくは豆類に替えるよう勧めました。もっと簡単にイリオマールでもいろいろな食材が手に入るようになればいいのですが、こればかりはまだどうにもなりません。私の住んでいるロスパロスも田舎ですが、ロスパロスはまだいい方なのだと感じました。
イリオマールで並行して実施している大豆加工食品の製造・販売活動は、継続して行っているのですが、まだ良い結果が得られていません。「Meti-Asa」という農民グループを村長に紹介してもらい、彼らも大豆を育てることに同意してくれたのですが、肝心の大豆が手に入らず、以前AFMETで育てた大豆を再度植えても芽が出てこないなどの理由です。Meti-Asaは男性8名、女性2名のメンバー。大きな土地をメンバー皆で開墾し、稲や野菜を育てています。将来のためにと魚の養殖場までつくっていました。いつか、農民グループを設立するに至った経緯を聞いてみたいと思います。
↑双子の家の家庭訪問。体重計が怖いので、お母さんに抱っこしてもらい測定。
↑双子のもう一人。上腕測定中。
↑Meti-Asaメンバーとスタッフ。野菜の種の配布。
↑彼らの開墾した土地。稲穂がきれいにみえます。
家庭訪問をするにあたり、以前から実施していた栄養セミナーではお母さんたちの疑問に直接的に回答できていないという現状がわかってきました。栄養セミナーにはたくさんのお母さんたち、子どもたち、一般住民の方も来るので、手を挙げて質問するのが恥ずかしい、時間が長くて集中できないという意見が寄せられました。間違えた質問をしたら恥ずかしいという感覚は、日本もティモールも共通しているようです。また、家庭訪問を実施するとき、とっても残念なのはテトゥン語での会話ができないという事。イリオマールではマカレロ語が話されているため、直接会話できず、お母さんがどんな思いを持っているかを自分の耳で聞くことができません。スタッフや栄養プログラム担当者がマカレロ語からテトゥン語へと訳してくれるのですが、やはり直接会話できたらいいのにな…と思います。今からマカレロ語を勉強する時間は無いのですが。。
いろんな家庭事情がわかり、お母さんの表情がわかる家庭訪問。栄養セミナーは今後も実施する予定ですが、家庭訪問にも重点を置いて実施していこうと思います。
2017年12月14日 深堀夢衣