キオスがなくなって不便!

キオスとは

「あら、塩がない。砂糖がない。ちょっとキオスで買ってきて!」

「突然のお客様なのに、お菓子がない。キオスー!!」

東ティモールの家庭で、よく見られる光景です。

キオスとは、小さな商店のことで、大半が自宅の一角を利用して商われています。その名から想像できるように、日本の駅のホームにある売店、 キオスクとよく似ており、自分で欲しいものをカゴに入れて支払に行く、というものでなく、店内に並べられているものを、店員さんに示して取ってもらうとい うスタイルです。洗剤やシャンプーなどの生活雑貨から、お菓子やジュースまで、生活必需品が所狭しと並べられており、その便利さは日本のコンビニエンスス トアさながらです。

営業時間は日によって違い、店員が不在のことが多々ありますが、店先で「キオスー!!」と大きな声で呼ぶと、奥から赤ちゃんを抱いたお母さんが出てきたり、道端に座って世間話をしていたおじちゃんがひょっこり立ってきたりと、かなり自由気ままに営業されています。

どこにでも

このキオス、山の奥だろうが、海辺だろうが、至るところで見つけることができ、東ティモールの人の生活を支える、なくてはならない存在で す。中でも激戦区は首都のディリ。100mの間に5、6件あったりします。並べられている商品はどこも同じような感じなのですが・・・。それでも、ろうそ くならあのキオスが最安!とか、砂糖なら同じ値段でもこのキオスが量が多い!など、それぞれにちょっとした違いがあり、みな色々と使い分けているようで す。

私が以前住んでいた家の大家さんも、そのお隣さんも、そのまたお隣さんも、キオスを経営していたので、歩いても30秒とかからない距離に、 3件もキオスがあったことになります。その環境に、気付かないうちに慣れ親しんでしまっていた私たち、日本に帰ってきて、最近不便だなぁと感じるように なったことは、言うまでもありません。

コンビニエンス

自宅から車を10分も走らせて、やっと辿りつける、便利なのかそうでないのかもはや分からない、最寄りのコンビニエンスストア。近所にキオスなんてあるわけもなく、残念ながら、いざというときの頼みの綱もなくなってしまいました。

一般的には、日本から東ティモールへ行くことの方が、不便だと感じることが多いように思います。水道がない、電車がない、・・・などなど。それでも中には、東ティモールの方がずっと便利だった!と思うこともあるのです。

「初めて東ティモールに行くのですが、何を持って行ったらいいでしょうか?」

日本から東ティモールを訪れようとされている方からよくされる質問です。人によって必要なものは様々なので、いつも返答に悩むのですが、一 つ言えることは、今現在、日本で生活していて、なくてはならないものは持ってきて下さい、でしょうか。後は、石鹸だろうが歯ブラシだろうが、きっとキオス が助けてくれることでしょう。

 

2012年7月10日