月間報告 10月 2012.10

「悩み」

最近、朝起きることができません。もともと苦手なのですが、最近はさらに・・・8時から仕事なのですが、目の前が事務所なのをよいことに7時50分まで寝ている始末です。

ずーっと前から、ナントカしなきゃと思っていたのですが、どうにも、何ともなりません。

日本で病院に勤めていた時、6時半には起きて7時ちょっとすぎの電車に乗る、という生活をしていました。今から考えると私は偉い!でも逆に考えると、7時過ぎの電車に乗るために、絶対6時半には起きなければならないという強制からこれをこなしていた可能性もあります。でも、どちらにしても日本にいた時の方が1日の中で起きている時間が長かったことは確かです。

「無理をしない、我慢しない」

このグータラ生活をダメだって思って悩んでいるのですが、ティモール(ロスパロス)ではそんな「悩み」悩む価値の無いこと。私の4年間の観察によると、彼らは誘惑に負けることを恐れない人達。というと聞こえが悪いですが、「無理をしない、我慢しない」と言ったらよいのでしょうか。
「あぁ~・・・めんどくさいけど、あれ、やらなきゃな・・・う~ん・・・・いっか、明日で。」
と言う感じ?まさに、今の私です。

それから、食べるのも、何かを言うのも、我慢しない。食べたいものは食べる、言いたいことは言う。これは私の好きな彼らの一面。言いたいことを言っても、後を引かない、なぜなら、みんなが言いたいことを言っているから!好きだけど、困るのは会議。会議にならないことがあります。人の話を聞かずに自分だけがしゃべる、という場面がしばしば。でもそんな時も
「うるさいな、今こっちがしゃべってるんだからちょっと黙ってて!」
と、言いたいことを言います。

「逃げ技」

逃げ技もあります。これ、ティモール人を知っている人なら経験があると思いますが、例えば、
「なんでこの書類、またココが間違ってるの?前も言ったでしょ!何回間違えば気が済むの!?」
と怒られると、
「僕は注意しているんだけど、書いてる人が間違うんだ!」
とひょいっと逃げる。

何か間違いが起こった時には
「アイツが悪い!」
とみんな責任をなすりつけ合います。

それか、何かを言い忘れた、聞き忘れた時。
「聞いたけど分からないって言われた」
「自分は聞こうと思ったんだけど、アイツが聞かなかった」
などなど。こう言われると、こっちの怒りの矛先がぶれる(のは私だけ?)。巧妙な技です。よほどの事で無い限り、これでひとまずは怒られなくて済みます。これ、スゴイ。まぁ日本では通じないかもしれませんが・・・

ここではこの技がまかり通っています。ちなみに、抜けてて物忘れの激しい私もその技身につけました!けっこう便利なんです(笑)

「占い」

それから、何かにつけて占い。不都合な事があると土地の神様や水の神様、先祖の怒りが主な理由になります。例えば、今私達は1つの集落で井戸を掘っていますが、もう25mになるのに、水が出ないんです。土は濡れているから水はある。でも出ない・・・ 場所を見誤ったんじゃ・・・と私は思い、彼らは
「この土地の主との関係が悪いから、彼が何かを使って水を引っ張ってるんだ。自分たちに水を与えたくないから。」
と言っています。それで、とにかく関係修復のための儀式をするとのこと。私はこのまま水が出ない可能性があるから次の手を考えなければ、と思っていますが、水がでなくても神様のせいというのも口実としてはよいか、と思ったりしています(悪知恵)。

もちろん、儀式をやって水が出ることも完全否定はできませんが。ティモールには色々とアニミズムの神様にまつわる話があります。

「ホントかよ・・・」って思うことが多いけど、私は嫌いではありません。日本の文化にも少し似ているような気がします。例えば、最近近くの村で計画性なく木を切ったために切った枝が電柱を倒し、うちも含む近所のエリアが3週間ほど停電しました。
「あいつら、木の切り方もしらねーのか!俺のロウソク代払いあがれ!」
と怒る人(これは当然ですね。)がいるのと同時に、
「あいつら、真昼間に木を切るなんてバカか!?」
と怒っている人。なんで昼間はだめなの?と聞くと、
「昼間は死人がで歩く時間だから、大がかりな事はしちゃいけないんだよ。」
と・・・。なるほど。

「計画性のなさ」

もうひとつ私がいつも笑ってしまうのは、計画性のなさ。例えば、誰かの家に遊びに行って、夕御飯を作る計画があるとします。道々、今日ご飯作るから野菜と肉を買っていこう!と色々と買いこみます。で、家について・・・
「ひとまずコーヒー飲むか~・・・、あ、コーヒーない。おい、コロモコ(近所の子供の名前)、コーヒー買ってこい。」
で、コロがコーヒー買いに行って、飲む。さて、夕飯の準備に取り掛かる。
「あ、油ない。コロ!」
コロが油買いに行ってきて、野菜を炒め始める。
「あ、塩ない!コロ!はやく!」
で、またコロが塩買いに行く。ここまででも、なんて効率悪いんだ・・・って思うんですが、極めつけ。ご飯食べ終わって一服・・・と、たばこが無い。
「おい!コロ!」
って、さすがにコロかわいそーだろ!さっきいっぺんに言えよ!って私は思っているけど、それは日常茶飯事らしく、コロは毎回買いに行ってくれます。

こんなエピソードに出会うたびに、何が彼らをこうさせるのか・・・とか、逆になんで日本人はこうなんだろう・・・とか、根拠はないけど色々な想像をしています。私達は、この人たちは、いったいどこから来て、なんでこの言葉を使っていて、こんな文化や習慣があって・・・。私の知らないずーっとずーっと昔の、歴史のなかにきっと答えはあるのでしょう。私の想像が正解じゃなくても、想像しているだけでけっこうおもしろいです。

【 筆者紹介 : 渡邊さん 】
渡邊さんは、特定非営利活動法人 東ティモール医療の会(AFMET)の目ぢからいっぱい、まんまる瞳の看護師さん。2008年から東部のロスパロスにて住民の皆さんに自らの健康は自ら守るため、また、医療サービスから遠い村で保健ボランティアを育成し、彼らを中心に村の中での健康や衛生に関する教育などの普及に努めています。