たかが洗濯、されど洗濯

三種の神器

日本でもかつて、テレビ・冷蔵庫・洗濯機が三種の神器と呼ばれた時代がありましたが、東ティモール(全土というよりは主に首都のディリ)では、さしずめテレビ・携帯電話・炊飯器といったところでしょうか。

携帯電話は一家に一台といわず、一人一台といっていいほどに普及していますし、憩いの時間はテレビという家庭も多いです。また、薪も購入し なければならなくなってきているので、料理は薪で、ごはんは炊飯器でという家庭も増えてきています。炊飯・保温だけのシンプルな炊飯器なら、お湯も沸かせ るので結構重宝するのです。

そこに冷蔵庫が入らないのは、その日のご飯の材料は、その日に買うという習慣や、人数が多いので残り物がなかなかでないから、洗濯機が入ら ないのは、生まれたときから手洗いが当たり前になっているので、あまり不便を感じないことや、電気や水の安定供給がまだ確かでないからではないかというの が、私の勝手な考察です。

せめて二層式洗濯機・・・

さて、生まれた時から洗濯は洗濯機でというのが当たり前になっていた私は、洗濯機がないことがものすごく不便なような気がしてなりません。全自動なんて贅沢は言わないから、せめて二層式のやつがあれば・・・と。

洗濯機は“洗う”という役割を果たすと同時に、“脱水する”という機能があることを忘れてはなりません。実際に手洗いをしてみると、洗うと いう作業よりも、この脱水のほうが大変だということに気づきました。ブラウスやハンカチなどの薄いものならまだしも、水を思い切り吸い込んだバスタオルや シーツはずっしり重たいし、固いジーンズなんかはもう放棄したいぐらい。いちど毛布を洗ったことがあるのですが、私一人では抱えきれませんでした し・・・。

日本流と現地流

洗濯はもっぱら主人の仕事ですが、たまに私がやるときには、汗を思いっきりかきながら、ぎゅうぎゅうと絞ります。ふと横をみると、となりで は涼しい顔した奥さんが、洗濯ものを干している様子。さすが、慣れている人は違うなぁと思っていたけれど、目の前には、物干しにぶら下がり、水がぼたぼた としたたり落ちている洗濯物・・・。

もちろん例外はあるでしょうが、こちらでは、洗った後はもっぱらざっと絞っただけで物干しにかけ、あとは引力で水を下に落とし、南国の太陽 の力で乾かす、というのが主流。曇りでその日に乾かなくても、明日かあさってか、まぁ干し続ければいつか乾くだろうと結構干しっぱなし、突然の大雨なら、 もう濡れてしまえとばかりに、放棄されてずぶぬれになっている様子もよく見ます。

私もそんな主婦の一人、東ティモールの嫁ですが、洗濯物はその日のうちに乾かしたい!この習慣はなかなか抜けきらず、今日も汗をかきながら ぎゅうぎゅうと絞っています。そして、太陽はこっちから上ってこっちへ沈む:午前中はこっちへ向けて、午後は向きを変えて・・・、どこが日照時間が長い か:長いところへ乾きにくいものを・・・、風の向きはどうか・・・、などいろいろと考えかんがえ干していきます。ただの洗濯といえども、奥はけっこう深い のです。

2012年1月28日